万葉集を読む

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王朝の周辺


万葉集巻一、巻二は各天皇の御世ごとに編年体の形式をとって、それぞれの時代を代表する歌を納めている。巻一には雄略天皇、巻二には仁徳天皇の歌とされるものが冒頭を飾っているが、実質的にカバーしているのは、天智天皇から聖武天皇までの時代、約百年間である。

われわれ現代人は、万葉集の巻一、巻二を読むことを通じて、古代史の一端に触れることができる。

万葉の時代は、大化の改新を経て、日本の歴史上王権の権威がもっとも高かった時代である。だがその王権は常に平和裏に継承されたのではなかった。王権を巡ってはさまざまな戦いがあり、それぞれの戦いを生き残ったものが、天皇の権威を手にすることができた。壬申の乱はそのもっとも象徴的な出来事であった。

ここでは、天智天皇から天武・持統両天皇への権力の継承、権力闘争の影で消えていかざるを得なかった悲劇の皇子たち、そして王朝の周辺にあって万葉の世界を彩ったさまざまな人々を取り上げてみたい。






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